安く購入できるなどメリットもある「旗竿地(はたざおち)」ですが、駐車しにくい、陽当たりが悪いなどのデメリットもあります。しかし、いくつかのデメリットは建築方法を工夫することで補うことが可能です。
筆者は、密集地にある旗竿地を安く購入し、家を建てました。採光ができているため一日中明るいです。そして、静かです。壁の高さや窓の位置を考えて設計したため、プライバシー面でもまったく問題ありません。縦列駐車にはなりますが、車も3台(1台はあまり動かさない車)停めています。
それでは、旗竿地購入時と建築時のポイントをそれぞれご紹介します。
旗竿地(はたざおち)購入時の3つのポイント
購入時のポイントは3つあります。確認してみましょう。
・接地面の道路の幅は5m確保
・間口の幅は3m確保
・電気、水道栓を確認
接地面の道路の幅を確認
土地ばかり気にして、家の前の道路の幅を「まあ、なんとかなるか…」と妥協してはいけません。とくに通路部分を駐車場として使用する場合、何度も何度も切り返しをしなくてはならないし、車を壁に擦ったりする可能性大です。道路の幅ですが、5m(車と車がすれ違えるくらい)は欲しいところですね。
間口の幅は3m確保
通路部分を駐車スペースとして使用する場合、間口が3mの土地を選びましょう。2mでは軽自動車でもギリギリです。ドアの開閉も考えないと後悔します。隣家との境界にブロック塀や柵を構築するとさらにスペースはなくなります。自転車をひいて車の横を通れるくらいの余裕は欲しいところです。車種にもよりますが、幅は3mあればどうにか大丈夫なはずです。
電線、水道栓を確認
電線はどの電柱から通すのか、確認しましょう。旗竿地は道路から奥まっているところに家を建てるため、途中に支柱を立てないと電線を引っ張れないこともあります。その際は、支柱代(10万円ほど)の追加工事が発生します。
また、水道は「水道栓」があれば、ほぼ大丈夫と考えられますが、私設管(公共のものではない)だと維持管理費が自己負担になったりまします。また、水道管を引っ張るとなると余計な追加工事費用がかかりますので、購入前に必ず確認するようにしてください。
旗竿地(はたざおち)に家を建てる時の3つのポイント
これは「旗竿地」に限りませんが、必ず周辺を歩いてみてください。とくに旗竿地はデメリットとして、陽当たり・風通しの問題があります。晴れの日、雨の日など、天気の違う日を選んで確認してみてください。また、朝、昼、夜、と時間帯を変えて歩いてみることをオススメします。交通量や住んでいる人の年齢層、騒音、匂いなど周辺環境をつかんでおくほうがいいですね。
・リビングを2Fにするか、吹き抜けにする
・外壁を高くしてプライバシーを確保する
・通路部分は傾斜をつけて駐車場にする
リビングを2Fにするか、吹き抜けにする
リビングを2Fにすれば、間違いなく陽当たりはよくなりますが、1Fは暗くなってしまいます。利便性を考えると、1Fをリビングにして吹き抜けにするほうが得策かもしれません。窓の大きさや位置を工夫すれば、直射日光が壁に反射し、家中が明るくなります。
吹き抜けにすると、冷暖房効率が悪くなるのでは、と心配する人がいるかもしれません。筆者は、東京で吹き抜けの家に住み、2年半経ちましたが、夏も冬も問題なく過ごせています。最近の住宅は、断熱材やペアガラスの効果も高く、快適です。
外壁を高くしてプライバシーを確保する
旗竿地の場合、周囲を家に囲まれている状態が多いと思います。そのほとんどが2F建て住宅ではないでしょうか。せっかく大きな窓にしても、いつも「カーテンを開けられない」状態ではもったいないですよね。それなら、いっそのこと外壁で家を囲んでしまいましょう。
旗竿地の場合、いくらステキな外観にしたところで、ほとんど道路から見えません。つまり、外観にお金をかけるのはもったいないわけです。
筆者の家は、高い外壁でグルっと囲んでいます。外から見ると「いったい中はどうなってるんだろう」と思うくらい、まったく中は見えません。つまり、中は完全にプライベート空間になっています。カーテンもありません。
ちょっとそこまでは…という人は、窓の位置や大きさを工夫するだけでずいぶん違います。窓にグラデーションのフィルムを貼ったり、窓そのもを曇りガラスにしたり、工夫してみるといいと思います。
通路部分は傾斜をつけて駐車場にする
どうせ駐車場にするなら、玄関まで階段や段差を作らず、完全にバリアフリーにしたほうが将来的にも役に立ちます。駐車場をコンクリートで作る場合、かなり多くのコンクリートを使いますので、その分の予算を確保しなくてはいけません。
車椅子の場合、必ず必要なのが「スロープ」。旗竿地なら、通路に傾斜をつければ、スロープ代わりになります。玄関まで緩やかな傾斜で登っていけるため、とってもラク。玄関まで階段なんていりません。
よっぽど広い土地じゃない限り、整形地で長いスロープを作ることは困難です。車椅子の場合、傾斜がキツいと介助者もけっこう大変です。実際にいろいろな傾斜で試してみてください。
ちなみに、バリアフリー住宅の基準となるのは、屋外は1/15勾配で、それ以上の勾配になると手すりが必要になりますので注意してくださいね。
※バリアフリー住宅基準とは…
バリアフリー住宅の技術基準とは、【フラット35】Sが利用できるバリアフリー性能を満たす基準のこと。バリアフリー性、耐震性、耐久性、可変性について、一定以上の性能を有す住宅を購入する場合に利用できる融資で、一定期間の金利を【フラット35】より引き下げるもの。