さまざまな住い方がある中で、「注文住宅で家を作る」という選択をした場合、初めての経験で楽しみな気持ちがある半面、不安な気持ちをいだく方もいらっしゃることでしょう。
その不安な気持ちのひとつに「設計士との打合せ」があります。
“どんな設計士なのか”
“しっかりと自分たちの思いを組み取ってくれるのか”
“予算は大きくならないか”
などなど。
一般的には、家づくりは一生に一度。それなのに相談相手の設計士で悩むのは絶対に避けたいですよね!
その不安を少しでも解消できるかもしれません。筆者の知人である、現役ハウスメーカーの営業マンに打合せのコツをバッチリ聞いてきました。
設計士との相性を見極める
ほとんどのハウスメーカーでは、残念ながら私たち施主が初めから設計士を選ぶことはできません。
それぞれのハウスメーカーには設計士が何人かいますが、それぞれの設計士が抱える案件の多さなどを考慮して、選ぶことがほとんどです。つまり、勝手に決まってしまうのです。
設計士は、住環境などを考慮し、快適に、そして安全な住いを設計するプロです。しかしながら、設計士も人間です。コミュニケーション能力、あるいは表現力、伝え方なども人それぞれです。
どんなに立派な設計士であろうと、あなたが打合せを行なってみて、「相性」が合わなければ、その後の打合せが非常に苦痛になります。これは、経験した方ならきっと分かると思います。
設計士との打合せの回数は、各会社の内容にもよりますが、おおよそ5~10回程度です。「間取り」「外装」「建具」「サッシ」などを設計士と打合せを行なっていきます。
たとえば、打合せが10回の場合、1週間に1回の打合せで、約2か月打合せを行うことになります。その間、設計士が変わることがありません。相性が悪いと、暮らしのイメージや希望などを伝えても伝わらないなど、非常にストレスを溜めることになりかねません。
こうなると、せっかくの楽しい打合せは台無しです。
では、どうすればよいのか。
まずは、担当の設計士との相性をしっかりと見極めましょう。2~3回の打合せの中でコミュニケーションを取った上で判断してください。
ただし、打合せが後半になると、ハウスメーカーとしても設計士を変えることを拒むことがありますので、早期に判断することが大切です。相性が悪いと感じた場合は、担当の営業マンにきっぱりと担当変更を申し出るようにしましょう。
えっ?そんなことできるの?と思ったかもしれませんが、大丈夫です!「担当変更すると、設計士さんに申し訳ないな…」と思う方もいらっしゃると思いますが、設計士からみれば、あなたの案件は、担当している物件の全体の1棟に過ぎません。が、あなたにとっては、一生に一度です。一度、作った家を簡単に替えることはできません。後悔をしないためにも、はっきりと申し出ることをお勧めします。
実は、筆者も家を建てるとき、担当の営業マンも設計士も変えてもらっています。そうなんです。どうしてもそのハウスメーカーで建てたかったんです。ただ、その判断が仁義的によかったかどうか分からなかったのですが、こうして現役のハウスメーカーの営業マンも同じことをおっしゃっているので間違いありません。
注文住宅でもっとも多いクレームとは?
初めての家づくりで、みなさんが困惑するのが「図面」です。基本的に、まずは手書きの平面図や立面図で提案を受けることがほとんどです。
しかし、初めて家づくりをされる方が困惑するのが「図面から広さや高さが想像できない」ということです。設計士は、図面を書くことがプロなので、当たり前に広さの間隔などを図面で伝えてきます。施主であるあなたに対して、「もちろん、それくらい分かっているだろう」と勝手に思い込んでいる設計士もいます。
ですから、広さや高さは分かりずらいと感じた場合は、実際の広さや高さが見れる場所に連れていってもらうなどして、自分の目で見て感覚をつかむことが大切です。
注文住宅でもっとも多いクレームは、完成後、「想像していた広さと違う」「想像していた高さと違う」と言ったクレームです。注文住宅は、設計の自由度があるがゆえ、オンリーワンという大きなメリットはあるのですが、反面、同じ見本がないため想像力を働かせることが大切になります。
大手ハウスメーカーなどでは、「3D CAD」や「VR」といった技術を取り入れて、より広さや高さを実感できるように工夫をしているメーカーもありますが、規模の小さいメーカーや工務店の場合は、技術の導入費用がなく、今でも紙と鉛筆だけで打合せを行なっている会社も多くあります。
ですから、広さや高さの感覚が分かりづらい場合は、設計士に遠慮なく「想像できない」と伝え、時間をかけてでも、同じような広さや高さなどがある場所に連れていってもらい、実際に目で見て、感覚をつかみましょう。後悔しないためにも、必ず必要なことです。
注文住宅でもっとも心配になることは?
家づくりで最も心配になるのは「建築費用」でしょう。加えて、自由設計の場合は、打合せで自分の要望があふれるように出てきて、設計士もそれをなんとか組み入れようと必死になります。そうなると、どんどん建築費が高くなることがあります。
打合せ前に、ある程度、あなたが出せる最大限の費用は決めた上で打合せを行なっていると思いますが、打合せに熱中するあまり、お金の面を忘れがちです。
設計士に関しては、家を設計することは自身の作品を作ることでもあります。設計士としても、妥協したくないという気持ちを持っているわけです。ですから、ほとんどが設計当初より金額が高くなることが一般的です。「一生に一度だし」などと思っていると、どんどん費用がかさんでしまいます。
これを回避するためにも、「総額はその都度確認」することがコツです。
家づくりに関しては、建物本体以外にも、地盤補強工事や屋外給排水工事、外構工事や造成工事、カーテン・照明など、本体以外でも多くの費用がかかります。
加えて、造成工事や外構、地盤補強工事などは、間取りが決定した次の工程で打合せをすることがほとんどです。建物本体以外にかかる工事費用もしっかりと確保し、建物本体工事はどの程度までお金を使えるのかを把握した上で、打合せの度にその総額を見ていくことをお勧めします。
注文住宅の場合、全て自由に作れるというメリットがあるため、自分の要望がどんどん入っていきます。ですから、要望に優先順位を付けておくことも大切です。広さが第一優先なのか、素材が第一優先なのかなど、しっかりと優先順位をつけましょう。
まとめ
いかがでしたか?家づくりは、ご自身や家族の幸せを願い、幸せな気持ちで打合せが開始されます。しかし、注文住宅の場合は、気をつけておくことが多くあります。一生に一度の家づくりで後悔しないように、少しでもこの記事がお役に立てば幸いです。