同じ場所で、同じ広さなのに、土地の価格がずいぶん違うのはなぜだろう…。
土地を探し始めると、土地の価格の違いに疑問を持つこともしばしば。当然、理由もさまざまですが、「土地の形」もその理由の一つです。一般的に土地の評価額が低く見られる「旗竿地(はたざおち)」ですが、実際住んでみると、デメリットよりもメリットのほうが多いように感じます。
そこで、あえて「旗竿地」に家を建てた筆者が、旗竿地のメリット・デメリットをご紹介していきたいと思います。視点を変えると、意外とデメリットが気にならなくなるかもしれません。
旗竿地(はたざおち)とは
土地には「整形地」と「不整形地」があります。「整形地」とは、土地の形状が正方形や長方形の土地のことで、三角形やL字型のような土地を「不整形地」と呼んでいます。「不整形地」は、土地としての利用価値が整形地より低いため、一般的に評価額が低く見積もられるようになっています。
旗竿地とは
・土地全体の形状が「旗」と「竿」に見える、L字型の不整形地
・道路に接している通路部分が「竿」、その奥の広くなっているところが「旗」
旗竿地の特徴
・通路部分(竿)は宅地だが、建物の建築は不可
・自治体によっては、消防法により3階建てが建てられないなどの建築規制あり
旗竿地(はたざおち)の3つのメリット
旗竿地のメリットは3つあります。
・土地の価格が安い
・車庫がいらない
・介護用のスロープがいらない(ベビーカーもラクラク)
土地の価格が安い
なんと言っても、価格は整形地に比べて安い!道路に接している通路部分の間口の広さで価格は変わってきますが、整形地より10〜30%ほど安く購入できると思います。掘り出し物件が残っていることも。
車庫がいらない
通路部分の幅が広いと車庫がわりになります。道路からの間口が3mあると、車を壁側に寄せて停めれば、その横を自転車を押して通ることもできます。縦列駐車にはなりますが、2台以上停めることも可能です。
介護用のスロープがいらない(ベビーカーもラクラク)
間口が3mあれば、車を駐車したとしても、車の横を車椅子は通れますので、介護の方も安心です。通路に傾斜をつければスロープ代わりになり、玄関まで階段なしで行くことができます。緩やかな傾斜ですので介助者もラクラク。ベビーカーもスロープだとラクですね。
旗竿地(はたざおち)の3つのデメリット
安く購入できる旗竿地ですが、デメリットもあります。
・隣家の圧迫感を感じやすい
・陽当たりと風通しが悪い
・駐車しにくい
隣家の圧迫感を感じやすい
旗竿地は全方位が隣家に囲われているため、隣家との距離が近いと圧迫感を感じることがあります。とくに隣家の窓の位置を確認しておかないと、プライバシー面で非常に不安を残すことになります。他人の視線を気にしながら生活するのはイヤですよね。
この問題は、壁の高さや窓の位置を工夫することで解決できます。
陽当たりと風通しが悪い
風通しはさほど気にする必要はないかと思いますが、陽当たりは確認しなければいけません。やはり、隣家との距離がネックになりますが、至近距離だと採光の方法や間取りでかなり苦労します。よく、「旗竿地に家を建てる場合は、建築士の腕の見せ所」と言われますが、本当にその通りだと思います。
陽当たり問題は、設計で「南から採光する」ことができれば解決できます。
駐車しにくい
通路と接地している道路の幅が狭いと、間口が3mあってもけっこう気を遣います。間口が2mでは軽自動車でもなかなか厳しいと思います。また、通路部分を駐車スペースとして使用する場合、2台目以降は縦列駐車になります。
この問題は、接地面の道路幅が5m以上、間口が3m以上の条件で土地を探せば解決します。