注文住宅を建てたいと考えた時、ほとんどの人が会社選びで悩みます。信頼や実績、ネームバリュー…、なんせ夢のマイホームですから、慎重になるのも当然ですよね。
まず最初に立ちはだかる壁は、ハウスメーカーか工務店どちらにするか?という選択。
実はハウスメーカーと工務店にはさまざまな違いがあり、あなたの資産状況や建てたい理想の家によって選ぶ会社は変わってきます。
筆者は、理想の家願望が強すぎて、結局、大手ハウスメーカーは断念しました。10社以上と面談して、3年かけて完成させましたが、おかげさまで理想の家が建ちました。
会社選びを間違えて「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔する前に、しっかりと情報収集をしてからスタートしましょう!
この記事ではハウスメーカーと工務店の違いを5つの視点から比較してみました。あなたが最適な会社を見つけるお手伝いができれば幸いです。
ハウスメーカーとは
ハウスメーカーとは、世間一般にも広く使われる言葉ですが、ハウスメーカーという言葉に正式な定義はありません。
従来は「積水ハウス・セキスイハイム(積水化学工業)・大和ハウス・パナホーム・ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)・ミサワホーム・住友林業・三井ホーム」の大手住宅メーカー8社を指す言葉として使われてきました。
しかし最近では大手8社の他にも、一条工務店やタマホームなどの新興住宅メーカーもハウスメーカーと呼ばれることもあり、
日本全国で広く展開する住宅会社に対して使われる呼び名として使われています。
住宅展示場でもよく見かける、お馴染みの会社ですね。
工務店とは
こちらもハウスメーカーという言葉と同様に明確な定義はありません。
主に、地元に根付いている業者を工務店と呼んでいる場合がほとんどです。
エリアは県内や市内、近隣の県までなど地域密着型です。
工務店は、個人やメーカーなどから戸建住宅を請け負い、鳶(とび)・大工・左官・板金・電気・水道などの職人の手配や管理、その他工事全体の監督をします。
工務店といってもその業務体系によってタイプわけがされています。
最近では、デザインにも力を入れている会社も多くみかけるようになりました。
ハウスメーカーと工務店の違い
では、結局ハウスメーカーと工務店は何が違うのでしょうか。
どちらも定義付けがされていないので境界線はあいまいですが、一般的な認識として規模と体系の2点が違います。
◯規模
- 全国展開している会社
→ ハウスメーカー - 地元に特化している会社
→ 工務店
このように呼ばれることが多いようです。
◯体系
【ハウスメーカー】
全国規模で展開するために、家づくりを規格化し、商品として家を販売しています。
プラモデルのように、『家』という商品を、マニュアル通りに組み立てていると考えてもらえるとわかりやすいかと思います。
実際、同じような家が建っていますよね。
【工務店】
ある程度の規格はあるものの、間取りや外観などをお客様と決めて行くスタイルをとっています。
つまり、こだわりの家を建てることができますね。
ハウスメーカーと工務店を5つの視点から比較
ここまでハウスメーカーと工務店の違いについてざっくりと説明してきましたが、ここからはさらに具体的にハウスメーカーと工務店を比較していきたいと思います。
私なりの見解も加えつつ、【価格・技術・品質・工期・自由度】の5つの視点からそれぞれを比較してみました。
1.価格
まずは、最も悩ましい価格から。
ハウスメーカーも工務店もそれぞれ価格には幅がありますので、簡単には比べられませんが、平均的に見ると工務店の方が安いです。
ハウスメーカーは、①家を規格化して手間を省き、②大量に注文して材料費を安くし、工事にかかかる費用のコストダウンを図っていますので、
ここだけ見ると、圧倒的にハウスメーカーの方が安いです。
しかし、最終的に工務店が安くなるのは、大手ハウスメーカーは、広告宣伝費に多額の費用を投入しており、その費用が建築費に上乗せされているからです。
例えば、建物本体価格3,000万円の家を建てるとします。ハウスメーカーと工務店、それぞれで価格の内訳を見てみましょう。
【ハウスメーカー】
- 工事原価(材料費、職人手間費、経費)
1,500万円 - 会社の利益 1,000万円
- 広告宣伝費 500万円
【工務店】
- 工事原価(材料費、職人手間費、経費)
2,200万円 - 会社利益 700万円
- 広告宣伝費 100万円
おおまかにいうとこんな感じです。ハウスメーカーで建てる場合、一般的に広告宣伝費が価格の50%程度含まれていると言われています。
また、ハウスメーカーや工務店の費用を比較する際、よく「坪単価」を参考にする人を見かけますが、実は坪単価は参考にならないのをご存知でしょうか?
坪単価で会社を比較すると家づくりに失敗してしまう可能性が高いので注意が必要です。
2.技術
ハウスメーカーの場合、契約まではハウスメーカーの営業マンが行ないますが、工事に関してはそのエリアの建築会社に丸投げする方法をとっているのをご存知でしょうか。
「えっ?そうなの?」と思われる方も多いかもしれませんが、そうなんです。
ハウスメーカーとして技術力を評価するというよりは、下請けの建築会社(大工さん)の技術力の評価になってしまうため、そもそもハウスメーカーの技術力を測ることはできません。
技術力もピンからキリまであるのが正直なところです。
筆者としては、「上手・下手」というより、「できること、できないこと」で技術を測るほうが正しいと思っています。
ただ、相手もプロですから「できない」とはなかなか言わず、「こっちのほうがいいと思いますよ」と別案を提示してきますから注意してくださいね。
ハウスメーカーで建てる場合、ぜひ契約前に「工事はどの会社がしますか?」と建築会社を確認することをおすすめします。
3.工期
設計から施工までシステム化されていて効率が良いため、圧倒的にハウスメーカーが早いです。
自社工場である程度できあがったものを現場に運び、それらを組み立てれば家ができあがります。
工場で組み立てられるのはハウスメーカーの大きな強みで、規模の小さい工務店にはできません。
現場で加工する工程がいらないため、工期はどんどん短縮されています。
4.自由度
確実に工務店の方が自由度は高いです。
ハウスメーカーの家は全国どこでも施工できるように規格化された商品であり、残念ながらお客様の要望を細かに取り入れられる仕組みになっていません。
反対に、工務店は規格化されていないことが多く、お客様の要望を聞きながら進めるため、工務店の方が要望が通りやすいケースは多いと言えます。
実際に打ち合わせをしていくとわかりますが、ハウスメーカーは、自社のカタログの中からパーツを選んでいくイメージです。
工務店の場合は、例えばドアノブひとつにしても世界中から探してきて、自分の好きなモノをチョイスできます。
工務店の方が自由度が高い分、家づくりに対する要望がはっきりしていないと迷ったり、なかなか決められなかったりして、かえってチグハグな統一感のない家になってしまったりするかもしれませんので注意してくださいね。
5.アフターサービス
アフターサービスは会社によって様々です。
ハウスメーカーの場合は、1年ごとの定期点検や、独自の保証をしっかり制度化しており、時間が経って営業担当者が変更になっても制度に沿って対応してくれます。
大手のハウスメーカーになると、アフターサービス専門の部署を構えているケースもあり、安心です。
工務店の場合も、定期点検を取り入れている会社が増えている傾向にありますが、実際にどのようなアフターサービスなのか必ず確認することをおすすめします。
距離が近いので、緊急を要する場合にすぐに駆けつけてくれるのは地域密着ならではの強みですね。
まとめ
いかがでしたか?ハウスメーカーも工務店も、どちらにも良いところがあり、苦手なところもあります。
6つの視点で比べてみた結果は以下の通りです。
1.価格
平均的に見ると工務店の方が安いケースが多い
2.技術
ハウスメーカーに依頼しても下請けの工務店の技術力になるため比べられない
3.工期
現場の加工の時間が短いため、ハウスメーカーが早い
4.自由度
工務店の方が自由度が高い
5.アフターサービス
ハウスメーカー・工務店それぞれの強みがあるため比べられない
以上、それぞれのメリットとデメリットを比較し、あなたの要望を叶えられる方を選んでください。
例えば、ブランドに価値を感じる方はハウスメーカーがいいと思います。
ただし、ハウスメーカーは、注文住宅というより、規格住宅が得意ということになります。
自社カタログの中から選びますから、最終的には、「ハウスメーカーの作りたい家」が完成します。
ハウスメーカーの規格で建てればハウスメーカーは必ず儲かります。
反対に、ブランドにはまったく興味が無く、こだわりの家を安く建てたいと思うのであれば工務店です。
おそらく、ここまで読んだいただいた方は、
「人とは違う家を建てたい」
「家族全員の理想を叶えた間取りにしたい」
「リゾート風なオシャレな介護住宅にしたい」
など、家づくりに対してかなりこだわりが強いのではないでしょうか。
おそらく、「こだわりの注文住宅」を求めてハウスメーカーで建てれば後悔することになります。
こだわったつもりが、いざ出来上がってみると「あれ?やっぱり似てるな…」ということになります。
オリジナリティがなくなってしまうわけです。そもそも、ハウスメーカーにそこまでのこだわりを求めてはいけないのです。
家づくりにおいて、会社選びはとても大切です。
会社選びを間違えると、どんなにあなたに知識があっても、どんなにあなたがしっかりと計画を立てても、家づくりは失敗してしまうでしょう。
この記事を参考にメリットとデメリットをしっかりと把握し、あなたに合った会社を見つけて頂ければ幸いです。